IPv6が織りなす次世代のインターネット

KID京都インターネット同好会
勉強会資料 H14/7/20 長谷川
1.そもそもIPアドレスとは
パソコンの識別番号。インターネット上のパソコン、ネットワークを識別するのに、ダブらない番号を付ける必要あります。この割り当て作業はIANA(Internet Assigned Numbers Authority)という組織が、各国ごとの割り当て調整組織に依頼して行っている。アジア・太平洋地域におけるIPアドレスの割り当ては、IANAから依頼されているAPNIC(Asia Pacific Network Information Center)が受け持ち、日本国内については、そこからさらに依頼を受けたJPNIC(Japan Network Information Center)が実際の割り当て作業を行っている。  現在の日本国内のインターネット環境では、JPNICがISP(インターネット・サービス・プロバイダ)に対してIPアドレスを割り当てておき、ユーザーは、そのプロバイダに割り当てられたIPアドレスの一部を使うという形態になっている。ダイヤルアップ接続のユーザーはもちろんのこと、たとえ専用線で接続されているユーザーでも、直接JPNICからIPアドレスを割り当ててもらうわけではない。
2.現状のIPアドレス(IPv4、バージョン4)
***.***.***.*** (***は0〜255までの数字)
61.194.236.90、192.168.1.1など
つまり256X256X256X256=42億とおりの組み合わせがあるが?。しかし、IPアドレスは、連番で全世界のコンピュータに割り振るわけにはいかない。もしそうすると、たとえば、61.194.236.90のコンピュータを探すのに、全世界のコンピュータをかたっぱしから探す必要がある。探さなくとも良い情報が、すべてのコンピュータや、ルーターに入っている。

たとえば、LANのコンピュータ(192.168.*.*)からserver.sky.sh(61.194.236.90)を見に行く時は、まずLAN内のルーターに行きなさいとなる。(ゲートウエーのこと)。ルーターは、プロバイダーのルーターと交信出来る。

61.194.236.90は、NTTPCコミュニケーションズが管理している、IPアドレスの一部。61.194.236.90を含む、より広い範囲をNTTPCコミュニケーションズが管理している。つまり、61.194.236.90を見に行きたければ、NTTPCコミュニケーションズのルーターに行きなさいと言った情報が、プロバイダー、通信業者などのルーターにある。これを経路制御情報(ルーティング)と言います。


(参考)Biglobeからwww.yahoo.comを見に行くのにつながるルーター、コンピュータなど


見に行く場所をわかるようにするため、IPアドレスは、全部使っているかどうかにかかわらず、ネットワーク単位でないとあまりにも効率が悪い。

下線の部分がネットワーク部。それより後がホスト部。

クラスA(16,777,214台)
 0〜127.***.***.***
 プロバイダー、法人になどに割り振るのは行っていない。

クラスB(65,534台)
 128〜191.***.***.***
 これも、プロバイダー、法人になどに割り振るのは行っていない。クラスCのいくつかを割り振ることになった。NECは一時期クラスBを持っていた。

クラスC(256台)
 192〜223.***.***.***
224〜以降は予約

グローバルIPアドレスと、ローカルIPアドレス
ローカルIPアドレス
LAN内のコンピュータであれば、以下は自由に使って良いことになっている。
10.0.0.0〜10.255.255.255
172.16.0.0〜172.31.255.255
192.168.0.0〜192.168.255.255

IPv4で不足しているIPアドレスをどうやって補うか
ルーターなどで、IPアドレスを変換し、インターネット上からは1台のパソコンから繋いでいるように見せる。→ NAT IPマスカレード
NAT IPマスカレードのメリットと問題点
インターネット側から、LAN内のパソコンにつなげないようできるから
LAN内のコンピュータはインターネット側からのアタックから守ることができる
LAN内のコンピュータは、本当に見てもらいたい人から見てもらうことができない。この世界中にいっぱいいる、本当に見てもらいたい人とコミュニケーションが取れればすばらしいこと

3.解決には、グローバルIPアドレスそのものを増やすしかない
IPv6の誕生
IPv4におけるIPアドレスは256X256X256X256=42億通りであった。(256は2の8乗。8ビット。8ビットが4つあるので32ビット) これを128ビットに増やした。IPアドレスは42億X42億X42億X42億=3X10の38乗通りになる。これは地球の面積1m2に6X10の23乗IPアドレスを与えることになるが、その目的だけではない。

IPv6のアドレス記述方法
  1234:0000:467d:0123:004d:0000:0000:22a1 など

  長いので0000の部分は、1回のみ連続した部分は、省略出来る。
  1234:0000:467d:0123:004d::22a1

  各ブロックの頭の0は省略出来る
  1234:0:467d:123:4d::22a1

  末尾やおしりの連続した0000はこんな省略が可能
  0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0001 → ::1
  1234:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000 → 1234::

IPv6の多くのメリット
  1. LAN側は、IPアドレスを設定しなくともIPアドレスがきまる
    LAN内のパソコンのアドレス fe8*::ではじまりMACアドレスと組み合わせたものが自動設定される。ルータを超えることはできない。グローバルアドレスと交信することはできない。
    私のサーバーのLAN側のリンクローカルアドレス → fe80::202:b3ff:fe30:114a
    ディフォルトのルーターアドレスはルータ側から自動的にもらえる

  2. IPv6機器は暗号通信機能を標準装備する
      IPそのものを暗号化、および発信者を確認するIPsecを標準装備

  3. IPv6のアドレス構造は以下の通り


    ビット単位に明確にグループを分けるためルーティングの情報がわかりやすい。

    128ビットの頭から何ビットかのアドレスブロックを以下のような形で現す。
    2001:0218::/35 (NTTコミュニケーションズに割り当ててあるアドレスブロック)


    グローバルアドレス → 2***::、または3***::ではじまる

    プロバイダーからユーザ(まずは法人など)には、48ビットを割り当ててもらえる。ユーザの方で80ビットをネットワークに与えることができる。

    例:日医総研からもらった長谷川のネットワークアドレスブロック 2001:380:1002:20::/60
    (2の68乗台のパソコンがつなげる!?)

  4. IPアドレスそのものに4倍もの情報を持っているので、通信が重くならないか
     ヘッダーに使用していない情報を省いた。拡張ヘッダーを作ることができる。
     ヘッダーの情報量は、基本的にはIPv4と同等

IPv6を試そう
Windows2000以上の方は、IPv6の確認ができます。
Windows2000はMicrosoft IPv6 Technology Preview for Windows2000をダウンロードする必要あり。
http://msdn.microsoft.com/downloads/sdks/platform/tpipv6.asp

WindowsXPはコマンドプロントからipv6 installでOK

ディスクトップから、VAIOのノートにping6を行った

対応機器、ソフトなど
民生用のルータ(YAMAHAなど)も対応、Netscape、IEも最近のバージョンはIPv6に対応。

対応プロバイダー





IPv4との共存
IPv6とIPv4の共存は、多くの方法でできる。


トンネリングの場合、コストは安いがIPv4アドレスも必要である。どこかでIPv6のみの通信に持っていく必要がある。

IPv6サイトの例
http://www.ocn.v6.ntt.net/
http://www.v6pc.jp/
http://www.kame.net/

IPv6はインターネットと言うより、個人や、企業の情報の交換と思います。
多分携帯電話には2〜3年のうちにIPv6アドレスが付くでしょう。

以上参考
v6start.net
Linuxネットワーク トッパン 小山裕司+数名著
Debian GNU/Linux徹底入門 武藤健志著
UNIXMAGAZUNI 2001年5月号